夫婦が離婚をしようとする場合、関係性が悪化していることに加えて、決めなければならない事項が非常に多いため、当事者同士の話し合いはうまくいかないことが多いです。
そのため、早い段階で弁護士に依頼することをお勧めいたします。
ただし、信頼できる弁護士に依頼しなければ、ご自身にとって不利な条件で離婚が成立してしまうことにもなりかねません。
そのため、依頼する弁護士の経験・能力・人柄などを見極めることが大切です。
今回は、離婚問題の解決を依頼する弁護士の選び方・探し方などを解説します。
離婚事件を依頼する弁護士の選び方|確認すべきポイントは?
離婚事件は、信頼できる弁護士に依頼することで、早期解決の可能性が高まります。
離婚事件を依頼する弁護士を選ぶ際には、主に以下のポイントに着眼するとよいでしょう。
離婚問題の解決実績は豊富か
弁護士によって得意分野は異なるところ、離婚事件を数多く取り扱っている弁護士であれば、スムーズに離婚問題を解決へと導いてくれる可能性が高いです。
離婚事件では、財産分与・慰謝料・親権・面会交流・養育費など、決めなければならないことが数多く存在します。
離婚問題の解決実績が豊富な弁護士は、これらの論点についても、数多くの検討を積み重ねてきていますので、法的な相場観を踏まえて適切なアドバイスを受けられます。
速やかにレスポンスを返してくれるか
離婚問題を抱えて精神的に辛い状況では、弁護士にアドバイスを求めたい場面も数多く訪れるかと思います。
その際、メールなどでの相談に対して、速やかにレスポンスを返してくれる弁護士は、相談役として適任といえるでしょう。
弁護士によって、営業時間内でしか対応してくれない場合もあれば、24時間対応してくれる場合もあり、レスポンスの速さはさまざまです。
正式な依頼をする前に、何度かメールでやり取りをしてみて、レスポンスの速さを確認するとよいでしょう。
弁護士費用の体系をきちんと説明してくれるか
弁護士費用は、相談料・着手金・成功報酬・日当・実費に大別されます。
相談料
正式依頼前の法律相談に対する報酬です。
無料の場合もあります。
着手金
正式な依頼を行う際に、初期費用として支払う報酬です。
成功報酬
離婚が成立した場合に支払う報酬です。
財産分与や慰謝料などによって経済的利益を得た場合には、その金額に応じて成功報酬が増額されるのが一般的です。
日当
離婚調停や離婚訴訟において、期日出席などの出張が発生した場合に、1日毎に発生する報酬です。
実費
郵送料・調停や訴訟の申立て費用など、事件処理に当たって発生した費用の実額です。
誠実な弁護士であれば、これらの弁護士費用の体系を詳しく説明し、依頼者の側で予期せぬ費用が発生しないように配慮してくれるでしょう。
正式な依頼をするかどうかは、弁護士費用の総額と内訳を、必ずきちんと確認してから判断してください。
時間的余裕がある場合には、複数の弁護士から相見積もりを取って比較することも有効です。
メリット・リスクと併せて選択肢を示してくれるか
離婚問題への対応を進めていくに当たっては、当事者がどのような選択をするか判断しなければならない場面が訪れます。
相手方に対してどのような提案・要求を行うか、あるいは相手方からの提案・要求を受け入れるかどうかなどの判断は、離婚協議の経過に大きな影響を与えるものです。
その際、考えられる選択肢を示し、それぞれのメリットとリスクをきちんと説明してくれる弁護士に依頼をすれば、判断を誤ってしまうおそれが減ります。
まずは一度法律相談を利用して、離婚に関する事情を詳しく説明し、どのような選択肢を取り得るのかについて、弁護士にアドバイスを求めてみましょう。
難しい法律用語を使わずに、わかりやすく説明をしてくれる弁護士であれば、信頼できる弁護士である可能性が高いです。
なお、「絶対に勝てます」などのように、事件の見通しについて断定的な判断を伝えてくる弁護士は、基本的に信用できません。
どのような事件であっても、将来の見通しを確実に見通すことは不可能ですし、事件の見通しについて断定的な判断を伝える行為は、弁護士倫理違反に該当するためです。
人間として自分と相性がよいか
専門家としての知識や経験もさることながら、弁護士は依頼者の精神的なサポート役としての役割も担っています。
離婚事件は長期化することもあるため、精神的に少しでも相談しやすいと感じられる弁護士に依頼するのがよいでしょう。
法律相談の段階で弁護士と話をしてみて、少しでも「合わないかも」と思ったら、他の弁護士にも相談してみてください。
離婚事件を依頼する弁護士を探すには?
弁護士と普段から交流がない方は、離婚事件を依頼する弁護士をどのように探してよいかわからない場合もあるかと思います。
離婚事件を依頼する弁護士を探す主な方法としては、以下のものが挙げられます。
ご自身の利用しやすい方法を用いて、信頼できる弁護士に巡り合ってください。
家族や友人から紹介を受ける
家族や友人の中で、弁護士と交流のある人や、過去に事件の解決を依頼したことがある人がいる場合には、弁護士の紹介を依頼してみましょう。
家族や友人からの紹介であれば、弁護士の人柄や能力もわかりやすく、安心して依頼することができるでしょう。
インターネットで検索する
近年では、公式ホームページを構えたり、ポータルサイトに登録したりして、自身の強みをアピールする弁護士が増えています。
離婚事件についても、注力していることをアピールしている弁護士は数多く存在するので、ご自身がお住まいの地域で離婚事件を取り扱う弁護士を、インターネット上で検索してみるとよいでしょう。
たとえば「離婚 〇〇市 弁護士」といったキーワードで検索する方法や、弁護士ポータルサイトで「○○市」「離婚」といった条件を指定して検索する方法が考えられます。
公式ホームページやポータルサイトには、離婚事件の解決実績や、離婚事件に対する取り組み方などが掲載されていることもあるため、依頼を検討する際の参考になるでしょう。
弁護士会から紹介を受ける
居住地域の弁護士会に相談すれば、弁護士の紹介を受けることができます。
日本弁護士連合会ホームページ
特に地方の弁護士会は、各弁護士の人柄などをよく把握していることが多いため、相談内容や依頼者のタイプなどに応じて、適任の弁護士を紹介してもらえる可能性が高いでしょう。
法テラスから紹介を受ける
各都道府県に設置された「法テラス」でも、弁護士の紹介を受けることができます。
法テラスホームページ
法テラスは、一般市民に対して広くリーガルサービスを行き渡らせることを目的として、国により設立された公的機関です。
収入・資産がともに一定水準以下の方は、法律相談を無料で受けられるほか、弁護士費用を立て替えてもらうことも可能です。
弁護士へのツテがなく、かつ経済的に困難な事情を抱えている方は、法テラスに一度相談してみるとよいでしょう。
離婚事件を弁護士に依頼すべきタイミングは?
離婚問題が発生した場合、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談することをお勧めいたします。
冒頭でも述べたように、離婚事件では、関係性が悪化していることに加えて、決めなければならない事項が非常に多いため、当事者同士の話し合いがうまくいきにくいという特徴があります。
そのため、話し合いがこじれてしまう前に、弁護士に依頼して法的な観点から論点整理を行うことが賢明です。
信頼できる弁護士に依頼すれば、相手方に対してどのような条件提示を行うか、また相手方からなされた条件提示を受け入れるかどうかについて、法的な相場観を踏まえたアドバイスを受けることができます。
離婚協議や調停・訴訟の手続きについても、弁護士が全面的に代行するため、依頼者の負担は大きく軽減されるでしょう。
特に、相手方が弁護士を代理人としている場合には、ご自身の側も弁護士を代理人に選任することをお勧めいたします。
相手方の代理人弁護士は、専門知識や経験を基に、あらゆる策を尽くして相手方に有利な条件を引き出そうとしてくるでしょう。
それに対抗するためには、ご自身の側でも弁護士を味方につけて、適正に権利を主張する必要があります。
配偶者との関係がうまくいかず、離婚問題に発展した場合には、お早めに弁護士までご相談ください。
まとめ
離婚問題を早期に解決したい場合には、初動対応の段階から弁護士に依頼することがきわめて効果的です。
ただし、弁護士であれば誰でも同じではなく、経験や対応の丁寧さ、弁護士費用の明確性や人柄など、さまざまな観点から信頼できる弁護士を見極めることが大切です。
家族や知人からの紹介、インターネットを通じた検索、弁護士会や法テラスからの紹介などを通じて、ぜひ信頼できる弁護士に巡り合ってください。
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