離婚したら会社に報告する義務はある?離婚時に必要となる社内手続きを解説

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離婚をした場合、そのことを会社に報告するかどうかで悩む方もいらっしゃるかと思います。

あまりプライベートなことを会社の人に詮索されたくないという気持ちもわかりますが、会社の事務手続き上必要となる場合には、必要な範囲で離婚の事実を伝えなければなりません。

また、周囲と円滑な人間関係を築くという観点からは、離婚の事実をひた隠しにすることがマイナスに働く場合もあります。

この記事では、離婚をした場合に会社に報告する義務はあるのかどうかについて解説します。

ご自身の置かれている状況に当てはめてみて、会社に離婚を報告すべきかどうか、どのように報告するかなどを考えてみてください。

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離婚したら会社に報告する義務はある?

そもそも、離婚というプライベートにも思えることを、会社に対して報告する必要はあるのでしょうか。

結論としては、細かく事情を説明する必要はないものの、離婚をしたという事実は伝えておく必要があるということになります。

その理由について見ていきましょう。

離婚した事実の報告は必須|社会保険・家族手当などの手続きが必要

離婚したという事実を会社に対して報告することが必須なのは、社会保険や家族手当などの手続きについて、社員が結婚しているかどうかという情報が必要になるからです。

たとえば健康保険で配偶者や子どもを被扶養者として登録していた場合は、家族構成・扶養関係の変化に伴い、登録事項を変更する必要が生じます。

また、会社の福利厚生として家族手当が支給されている場合には、離婚の事実を会社に報告しなければ、不正受給に該当してしまうおそれがあります。

その他、会社側での事務処理上必要な情報として、社員の家族構成についての情報提供が要請されている場合があります。

円滑に社内の人事手続きを進めるためにも、会社に対して所定の方式で離婚の事実を報告しておく方が無難でしょう。

離婚の理由を説明する必要はない

離婚の事実は伝えなければならないとしても、その経緯や理由などについて詳しく説明する必要はありません。

人事手続き上は、離婚したという事実さえ把握できれば十分なため、それ以上の情報は必要ないのです。

もしかすると、上司や同僚などから離婚の詳細についてあれこれと詮索されるかもしれませんが、気が進まなければ回答する必要は一切ありません。

もし執拗に詮索されるようであれば、職場におけるパワハラに該当する可能性がありますので、人事部や労働基準監督署などに相談しましょう。

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離婚を会社の人に知られたくない場合はどうすれば良い?

離婚はプライベートな事柄なので、公私の区別を明確にしている方ほど、会社の人に離婚の事実をできるだけ知られたくないと考えるでしょう。

その場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

人事などの最小限の人にだけ伝えて口止めする

すでに解説したとおり、会社の人事手続きなどとの関係で、離婚の事実を会社に全く伝えないということはおすすめできません

しかし、人事手続きなどに必要な最小限の関係者にだけ離婚の事実を伝え、それ以外の人には伝えないということであれば、社員のプライバシーとして認められてしかるべきでしょう。

「上司や一緒に仕事をしている同僚などには伝えなければならないのでは?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし本来仕事をする上では、社員が結婚しているかどうかについては関係がないことです。

そのため、本人が伝えたくなければ、上司や同僚に離婚の事実を黙っていても良いでしょう。

ただし、人事担当者などに離婚の事実を伝えた場合は、上司や同僚には伝えないように念押ししておかなければ、いつのまにか情報が漏れてしまうかもしれません。

そのため、人事担当者に対して口外無用の念押しを忘れないようにしましょう。

仕事上の苗字を変更しない

夫婦が離婚をした場合、婚姻によって姓を改めた側は、原則として婚姻前の姓に戻ることになります(民法767条1項)。

仕事上で婚姻中の姓を使っていた場合、離婚後は仕事上も婚姻前の姓を使用するように変更すれば、当然ながら離婚の事実を周囲に疑われてしまうでしょう。

もし周囲に離婚の事実を知られたくないのであれば、離婚後も婚姻中の姓を使用し続けた方が良いかもしれません。

この場合は、本名とは違う名前を仕事上使用するということになりますので、会社における手続きが必要となる場合があります。

詳しくは人事担当者に確認しましょう。

ちなみに、離婚をした場合で宛も、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めに従って届出を行うことにより、婚姻中の姓を引き続き使用することもできます(民法767条2項)。

上司や同僚には日常会話からバレないように十分注意を

できるだけ会社の人に離婚の事実が知られないように立ち回っていたとしても、周囲の上司や同僚との関係ではどうしても、日常会話などから離婚の事実を勘ぐられてしまう可能性は排除できません。

そのため、上司や同僚と接する際には、極力プライベートな話題を避けるように細心の注意を払いましょう。

とはいえ、全くプライベートな話題を話さないとすれば、上司や同僚との関係がぎくしゃくしてしまうことは避けられないでしょう。

やはり、少なくともよく会話をする上司や同僚に対しては、離婚の事実だけは端的に伝えておいた方が、かえってストレスが少なくなるかもしれません

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離婚時に会社で必要となる社内手続きを解説

離婚をした場合、会社において必要となる社内手続きの例について解説します。

具体的にどのような手続きが必要となるかは会社によって異なりますので、下記はあくまでも参考として、詳細な手続きについては人事担当者などにご確認ください。

住所変更

離婚をきっかけに住所が変わった場合には、住所変更の手続きが必要になります。

旧住所に元配偶者が引き続き住んでいる場合、会社に伝えている住所を旧住所のままにしていると、会社からの郵便物が元配偶者のもとに届いてしまいます。

また、会社から支給されている交通費は住所を基準として決定されるため、常に最新の住所にアップデートしておくことが必要です。

社会保険関係・家族手当

すでに解説したとおり、健康保険などの社会保険について、家族構成などの情報を登録している場合には、その情報をアップデートしなければなりません。

もし事実と異なる情報が登録された状態を放置していて、保険料などの支払いが正しく行われなかった場合、後から精算が生じてしまう可能性があるため注意しましょう。

また、家族手当などの福利厚生についても、最新の家族情報に基づいた支給が正しく行われるように、人事担当者などに対して離婚の事実を早めに伝えるようにしましょう。

口座の名義変更

離婚に伴う復氏などにより、銀行口座の名義が変更となる場合には、口座の名義変更手続きも必要です。

会社が持っている口座情報と、最新の口座情報が一致していなければ、給料などの振り込み手続きに支障を生じてしまう場合があります。

そのため、口座の名義変更についても忘れずに対応しておきましょう。

氏名の変更

離婚により旧姓に戻る場合には、会社に登録している氏名の情報を変更する必要があります。

仮に仕事上は婚姻中の姓を使用し続けるとしても、会社のデータベース上は本名の登録も必要となりますので、人事担当者の指示に従って氏名の変更を申請しましょう。

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正社員かパートかで必要な手続きは変わる?報告しなくても良い場合はある?

離婚の際に必要となる会社の社内手続きについて、正社員かパートかで違いはあるのでしょうか。

また、これまで解説した社内データベースへの登録事項が全く関係しない形で離婚をする場合、会社への離婚の報告は一切不要となるのでしょうか。

以下では、これらの疑問について解説します。

正社員もパートも必要な手続きは同じ

これまで解説してきた手続きは、基本的には正社員にもパートにも同じように当てはまるものです。

そのため、必要となる手続きは基本的に同じと考えて良いでしょう。

しかし、パートの場合は収入要件との関係で、会社において社会保険に加入していない場合もあります。

その場合は、社会保険関係の手続きは不要となります。

また、家族手当などの福利厚生は正社員のみを対象としているという場合もあるでしょう。

その他、会社によって正社員とパートの間で事務処理上の違いが存在する場合がありますので、詳しくは人事担当者にご確認ください。

住所変更なし・扶養関係なし・氏名変更なしの場合は報告不要?

離婚に関して、会社との関係で報告が必要となるのは、すでに解説したように、

  • 住所変更
  • 扶養関係の変更(社会保険・家族手当など)
  • 氏名変更(口座名義・本名)

などを理由としています。

これらの変更が全く絡まない形で離婚をした場合、会社への報告は不要なのでしょうか。

たとえば、もともとの家に住み続け、共働き・子なしだったため扶養関係の変更もなく、氏名も婚姻中から変更がないような場合には、離婚の事実を一切報告しなくても良いのでしょうか。

たしかに、これらの変更がないのであれば、会社に対して離婚の事実を伝えなかったとしても実害はないかもしれません。

しかし、社員の側では気づきにくい社内手続きのルールを見落としている可能性があるので注意が必要です。

たとえば就業規則の中では、戸籍に変更があった場合には、必ず会社に対する届出を行うように規定している会社もあります。

離婚をすると戸籍に変更が生じますから、このような会社では、離婚の事実を会社に報告することが就業規則上要求されます。

もし就業規則に違反して、会社に対して離婚の事実を報告しないと、戒告などの懲戒処分を受けてしまう可能性があるので注意が必要です。

それ以外にも、見落としている社内ルールがあるかもしれないので、少なくとも人事担当者に事前に相談しておいた方が良いでしょう。

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まとめ

社員が離婚をした場合には、会社における人事手続きに影響するため、基本的には会社に対して離婚の事実を伝える必要があります。

ただし、離婚の詳しい経緯などまで伝える必要はありません。

たとえ上司や同僚から詮索されたとしても、話すことに気が進まないのであれば、プライバシーを理由に断ってしまって構わないでしょう。

離婚に関して、会社において具体的にどのような手続きが必要なのかについては、会社ごとにルールが決まっていますので、詳しくは人事担当者に相談してみましょう。

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