結婚よりもはるかに大きな選択となるのが離婚であり、そのプロセスは非常に疲労を伴うものです。
離婚がもたらす影響は、家族全体の人生において大きな変化を引き起こします。結婚生活において描いていた数多くの夢も、離婚を選ぶことによって手放さざるを得なくなるでしょう。
また、周囲の人々から離婚に対して反対されることも少なくありません。
したがって、離婚を選択する前には、その結果として生じるメリット・デメリットを十分に理解しておくことが重要です。
離婚をすることで得られる2つのメリット
不倫・モラハラ・夫婦喧嘩など抱える問題を解決できる
離婚の一番の利点は、夫婦間の問題を解消できる点にあります。
結婚する際には、一生を共にしたいと深く愛し合っていた二人でも、実際に生活を共にすることで結婚前には気付かなかった相手の一面が見えてきて、少なからず失望することがあるものです。相手の欠点に目を向けないようにしていても、耐えられないことがあるのも事実です。
例えば、「ありがとう」の言葉を口にしない夫に対し、家事を手伝ったり食事の感想を求めても何の反応も示さない彼に失望する妻が多いのです。
その他にも、不倫やモラハラ、家庭を顧みずに仕事ばかりすることや浪費癖など、妻たちが抱える悩みは尽きることがありません。
離婚を選択することで、こうした忍耐や我慢から解放されることが可能です。夫からのモラハラにより精神的に疲弊している妻も少なくありませんが、離婚を決断することで、悪化していた心身の回復が期待できるのです。「これからは悩む必要がない」「これからは嫌味を聞かされることもない」と感じることで、心に余裕が生まれ、自分自身の人生を取り戻すことができるのです。
離婚を避けた場合、配偶者の機嫌を伺いながらの仮面夫婦生活がこの先続くことになります。後になって後悔しても、時間は元には戻りません。夫に悩まされた結果、無駄に過ごしてしまった人生は、気付いても取り戻すことはできません。
新しいことにチャレンジしていくことが可能
離婚を選択することによって、新たな挑戦をするチャンスが生まれます。この点も、離婚の大きな利点の一つと言えるでしょう。
長年にわたり夫婦間の問題に苦しんでいた方々は、自分のやりたいことを見失い、自信を失ってしまうことが多いものです。人間は、心に傷を負う生き物です。夫によるモラハラを受け決断力が奪われたり、不倫によって自己肯定感が低下したりすると、元々の自分を見失うことになります。その結果、新しい挑戦をする意欲が薄れ、日常生活が単調なルーチンに陥ってしまうのです。
しかし、離婚をすることで、そのような単調な生活から脱却することが可能です。これまで挑戦できなかった趣味や習い事、旅行など、すべて自由に楽しむことができます。また、新たな人間関係や新しい環境を手に入れることもできるのです。素晴らしい人との出会いを果たし、恋愛を楽しむことや再婚を果たす人もいます。
夫に気を使い、自分の思い通りに行動できなかった方も、離婚後は一人の時間を持つことができます。物事の進め方やお金の使い方についても、すべて自分の自由に決めることができるのです。
離婚をすることで生じる4つのデメリット
相当な体力と気力が必要
離婚は、心身共に大きな疲労をもたらします。法的手続きや今後の約束事など、離婚を進めるにあたって決めなければならない事項は膨大です。おそらく、皆さんが考えている以上に、話し合いを重ねて決断を下さなければならないことがたくさんあります。この決断には気力や体力を伴うため、離婚は結婚以上に困難であると感じる方も多いのです。
また、決断をするだけではなく、一人で進めなければならない手続きも数多く存在します。例えば、子どもに関連する児童手当の手続きや、姓名変更に伴う職場での手続き、金融機関での手続き、さらには就職活動に至るまで、さまざまな事務手続きを同時に短期間で行わなければならないのです。
時には、お互いに感情的になってしまい、泥沼の離婚調停や裁判に突入することもあります。調停や裁判は心身に対して非常に大きな負担をかけ、その影響は本人だけでなく、家族や周囲の人々にも及ぶことがあります。
世間体が悪くなる・離婚報告がつらい
離婚は結婚と同様に、周囲への報告が求められます。家族、特にお互いの両親だけでなく、職場の同僚や友人たちにも伝えることが重要です。
報告することには勇気が必要ですが、関係者に知らせておかないと、不要な混乱を招く恐れがあります。特に女性の場合、旧姓に戻るため、離婚が関係者以外にも広まりやすく、さらに気持ちが辛くなります。
離婚を伝える際には、これまでの感謝の気持ちやお詫びを考慮することも重要です。結婚式に出席してくれた方々や、祝福してくれた上司など、結婚を祝ってくれた人々には特に配慮して報告する必要があります。
離婚後しばらくの間は、噂の材料になる覚悟も持たなければなりません。「人の噂も75日」と言われていますが、事実と異なることが広まったり、尾ひれがついたりするのは非常に辛いものです。
周りから責められたり反対されたりする
離婚を選択すると、周囲から非難されたり、反対意見を受けることが少なくありません。
多くの人々は「大変ですね」と同情を示してくれますが、特に年配の方々からは厳しい言葉を投げかけられることがしばしばあります。「最近の若い人は我慢が足りない」「そんな配偶者を選んだのはあなた自身でしょう」「結婚する前に、どうしてそんな決断をしたのか」といった具合に、あなたの事情を理解することなく好き勝手に批判されることもあります。このような状況は、罪悪感を感じさせたり、逆に反発の気持ちを引き起こしたりして、心に負担をかける可能性があります。
また、両親や親戚からは「子供のために離婚を避けるべきではないか」といった反対の声が上がることがよく見受けられます。特に上の世代の女性たちは、「子どものために」と言い聞かせながら、夫や姑の理不尽な言動を受け入れてきた方が多いため、我慢すべきであると説教されることが頻繁にあります。
喪失感・孤独感
離婚した直後は、解放感に包まれて心が軽く感じることがあるものの、ひとりに戻ると寂しさが募り、なぜ離婚を選んだのかを後悔することもあるでしょう。結婚する際には、その相手を愛していたわけですから、離れた後に彼らの良い面を思い出すことがあるのは不思議ではありません。
ひとりで生活を始めると、非常に辛いと感じる方々も存在します。喪失感や孤独感に悩まされ、幸せを見出せずに生きがいを失ってしまう人も少なくないのです。
さらに、離婚によって孤独死のリスクが高まることも忘れてはいけません。身体が弱ったり年を取ったりした際に、適切なケアを受けることが難しくなる可能性があります。
お子様がいる場合の離婚のメリット・デメリット
子どもへの影響
離婚を考慮している方々の中には、配偶者からの悪い価値観が子どもに伝わることを避けたいと考えている方も多いでしょう。しかし、子どもがいる場合は、離婚についてより一層慎重に検討する必要があります。離婚は子どもにとっても大きな影響を及ぼすからです。
離婚を選択すれば、子どもの心に傷が残ることもあります。たとえ夫としての能力に欠けていても、子どもにとっては良い父親であった場合、その傷は特に大きなものとなる可能性があります。
とはいえ、逆に「これで親の喧嘩を聞くこともなくなる」と安心する子どももいるかもしれません。
ただし、子どもの心に残る傷の程度は家庭によって異なるものの、どんな家庭でも適切なケアが求められます。
また、転居を伴う離婚の場合、子どもは転校や転園を余儀なくされます。こうした環境の変化により、友人たちとの別れなどのデメリットが生じることもあります。
では、離婚を選ばなければ子どもが傷つかないのかといえば、そうではありません。仮面夫婦としての関係を続けることで、感謝の気持ちや笑顔、思いやりの心が育たないと言われています。両親の争いを目の当たりにすることも、子どもにとっては非常に辛い体験です。
離婚をするか仮面夫婦を続けるかにかかわらず、夫婦仲の良くない家庭に育った子どもたちは、結婚に対する希望を抱きにくいことが多いです。彼らはトラウマを抱え、将来的に自らの結婚に支障をきたす可能性もあります。
熟年離婚の場合、子どもはすでに独立していることが多いため、特に子どもに関する問題は少ないと言えるでしょう。
子持ちの場合、再婚のハードルがあがるか
子どもを育てながら離婚した女性が再婚を考える場合、再婚相手と一緒に生活することになるため、子どももその環境に適応しなければなりません。このことから、再婚への道のりはどうしても難しくなります。
最大の障壁は、子どもと再婚相手との関係性にあると言えるでしょう。子どもが再婚相手に対して親しみを感じてくれれば理想的ですが、そうでないケースも少なくありません。
同様に、再婚相手にも、血縁関係のない子どもを育てることに対して抵抗感を抱く人と、そうでない人がいます。もしその男性が子ども愛する心ををって持いれば、連れ子とも良好な関係を築ける可能性が高いですが、逆に自分の血を引く子どもだからこそ愛着を感じるという男性も多いのが現実です。
「バツイチ・子持ち」という状況を受け入れ、理解を示す寛容な男性も存在します。子どもがいるからと再婚を諦める必要は全くないのです。
まとめ
離婚をすると、夫婦問題を解決し新しいことにチャレンジできるようになるというメリットがあります。しかし離婚には相当な体力と気力が必要です。さまざまなことを決めなくてはいけませんし、周囲から責められることもあります。子どもの心のケアもしなくてはいけません。
離婚を決断する前に、こうした離婚のメリット・デメリットを理解しておくことが大切です。