不倫・浮気の慰謝料請求できる条件と相場以上に慰謝料を獲得するための方法

法律相談

配偶者に不倫をされた場合、離婚するしないにかかわらず、慰謝料の請求が可能です。しかし慰謝料請求には条件があり、請求する相手も決めなくてはいけません。たいていの人は慰謝料請求なんて初めての経験ですから戸惑いますし、ちゃんと請求できるか不安だと思います。

でも、請求の仕方がよくわからないからと泣き寝入るのはもったいないです。あなたの権利なのですから、知識を身につけて堂々と請求しましょう。

不倫・浮気の慰謝料請求できる条件や慰謝料の相場、相場以上に獲得するための方法を詳しくご紹介します。

夫・妻に不倫慰謝料請求ができる条件とは

不倫(不貞行為)とは

不倫とは「配偶者のある者が配偶者以外の者と肉体関係を持つこと」のことです。よく「浮気」という言葉も使われますが、不倫と浮気の違いは肉体関係があるかないかです。手をつないだり心惹かれたりするのは浮気であり、まだ不倫ではありません。

不倫は法的には不貞行為(ふていこうい)といい、民法第709条の不法行為にあたります。不法行為とは故意または過失によって他人の権利を侵害し、損害を与える行為のことです。

不倫は不法行為ですから、不倫によって配偶者が精神的に傷ついたり夫婦関係が破綻したりした場合には、その損害を賠償するための「慰謝料」が発生します。

慰謝料請求の期限・時効

慰謝料の請求には期限があります。民法第724条により、原則として、不倫の事実と不倫の相手を知ってから3年が経過すると時効になり、もう請求できなくなります。

慰謝料請求権があることと知らなかった場合でも、不倫から20年が過ぎると請求権が消滅してしまいます。

慰謝料請求の相手とは

不倫の慰謝料を請求する相手には、次の3パターンがあります。

  • 配偶者と不倫相手
  • 配偶者(離婚する場合)
  • 不倫相手

不倫した2人は共同で不法行為をしたわけですから、基本的には配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求することができます。

たとえばあなたが、慰謝料として100万円を不倫した2人に請求したとしましょう。法律上は請求する側が配分を決めることができるため、どちらか一方に100万円全額を請求してもかまいませんし、2人に50万円ずつ支払いを求めてもかまいません。

ただ、離婚しない場合には不倫した配偶者に慰謝料を求めることはあまりありません。夫婦であり続けるのに慰謝料をやりとりしても、同じ家計の中でお金が移動するだけで意味がないからです。また、夫婦間で慰謝料を請求するのは今後の夫婦関係のためにもよくありません。そのため、離婚しない場合には不倫相手にのみ慰謝料を請求するケースが多いです。

不倫相手は不倫の慰謝料は支払わなくてはいけませんが、離婚の慰謝料を支払う必要はありません。夫婦が離婚に至るのは夫婦の責任であり、たとえ不倫が引き金でおこった離婚によって配偶者が傷ついたとしても、不倫相手がその慰謝料を支払う義務はありません。

不倫慰謝料請求の4つの条件

不倫慰謝料請求には、主に次の4つの条件があります。

  • 肉体関係があったかどうか
  • 既婚者であることを知っていたかどうか
  • 不倫をしている証拠があるかどうか
  • 夫婦の仲が悪く、共同生活がすでに破綻していたかどうか

不倫というためには、浮気と違って肉体関係がなくてはいけません。

不法行為には故意または過失が必要なので、不倫相手が既婚者であることを知っていること又はそのことを知るべきであったのに不注意により知ることができなかったことが条件となります。

そしてなによりも、不倫をしているという証拠が必要です。たとえばラブホテルに2人で入っていく瞬間の写真や2人のメールのやりとりなど、明らかに不倫しているといえる証拠を押さえなくてはいけません。

ただし、これらの条件が揃っていたとしても、夫婦関係がすでに破綻していた場合の不倫には慰謝料が発生しません。婚姻共同生活の平和の維持という権利自体が失われており、不倫による損害が発生していないと考えられています。

不倫の慰謝料相場はいくら?計算できる?

不倫慰謝料の相場

不倫の慰謝料の相場は法律で定められてはいません。不倫による精神的な苦痛は目に見えるものではなく、数字で測れるものでもありません。当事者間で話し合い、額を決めていきます。話し合いでまとまらなかった場合は裁判になります。

だいたいの目安は50~300万円といわれています。夫婦関係を存続させるつもりなら数十万~100万、別居・離婚するなど夫婦間に亀裂が生じたなら100万円~300万円になる場合もあります。

ただ、あくまでもこれは平均の話です。実際に支払われている慰謝料の額にはかなりの幅があり、多額になるケースもあればまったく支払われないケースもあります。不倫によって配偶者がどのくらい傷ついたのか、不倫が続いていた年月や結婚期間など、ケースによって条件はさまざまです。すべての要素を踏まえて話し合うしかありません。

不倫の慰謝料金額の決定要素

一般的には、次の4つの要素によって慰謝料の金額が左右されます。

  • 不倫の期間、回数
  • 婚姻期間
  • 子供の有無
  • 反省の姿勢の有無

不倫していた期間が長く肉体関係の回数が多いほど、慰謝料は高くなります。また婚姻期間も重要で、長く結婚していた人が不倫をすると慰謝料も高くなります。

婚姻期間が長くなるほど、夫婦の家庭内の平和が安定して強固となると考えられることから、その分家庭内の平和がより深く傷つけられるからです。

子どもがいる場合の不倫も慰謝料が高額になりやすいです。特に夫の仕事中に子どもを置いて妻が不倫をしていたケースなど、子どもに害が及ぶような不倫は高い慰謝料となることが多いです。

慰謝料といってもない袖は振れませんから、請求される側の年収にも左右されます。

また、不倫した側の反省の姿勢の有無も大きな要素です。開き直って「お前が魅力的じゃないから」「あなたがかまってくれないから」などと言おうものなら、反省の色が全くないとして高額な慰謝料を請求されることになります。

不倫の慰謝料を相場以上に獲得するための4ポイント

慰謝料はいわば不倫によって傷ついた心を癒し、立ち直り、新しい人生を踏み出すための資金です。相場にこだわらず、傷ついた心に見合うだけの金額を請求しましょう。

相場以上の慰謝料を獲得するためのポイントは、次の4点です。

  • 内容証明による正式な「通知書」で請求する
  • 不倫の証拠をできるだけ多く、継続して集める
  • まず希望より高めの金額で請求する
  • 裁判も辞さない覚悟を伝える

内容証明による正式な「通知書」で請求する

慰謝料の請求は、まず「慰謝料請求の意思表示」からはじまります。内容証明郵便を使って、確実に相手に請求書が届くようにしましょう。口頭では言った言わないの争いになりますし、メールなどでは「届いていない」と言われるおそれがあります。送った内容と相手が受け取ったことを証明できる内容証明郵便が一番確実です。

 不倫の証拠をできるだけ多く、継続して集める

次に、できるだけ多くの不倫の証拠を集めましょう。不倫の慰謝料は不倫回数や期間によっても上下するため、証拠はあればあるほど有利です。

興信所や車のGPSなどを活用し、可能な限り長期間の証拠を継続して集めるのが重要です。

ただし、GPSを利用する場合には、プライバシー権侵害となる可能性があり、場合によっては裁判において証拠として利用することができなくなってしまう可能性もあるので、注意が必要です。

まず希望より高めの金額で請求する

慰謝料の請求額は、まずは希望よりも高めに請求しましょう。初めから希望する金額で請求すると、その金額より低額になる可能性があります。請求後の話し合いの中で、「じゃあ50万円減額してあげるから一括で支払って」などと交渉材料にできます。

とはいえ、相場からかけ離れた高すぎる金額は請求しないようにしましょう。あまりの金額に相手が驚いて最初から裁判を望んできたり、態度が硬化したりして話し合いが上手くいかなくなるおそれがあります。希望額から50~100万円をプラスした金額で請求するのが妥当なところです。

 裁判も辞さない覚悟を伝える

慰謝料の請求に応じない場合は裁判も辞さないという強い覚悟もみせておきましょう。相手にプレッシャーを与えることで、誠実な対応を求めることができます。不倫相手が裁判を嫌がって、多めに慰謝料を支払うケースも多いです。

先ほどもお話ししましたが、人間ない袖は振れません。不倫相手にめぼしい資産がない場合は、仮に裁判等で高額の慰謝料金額が認められたとしても、実際にその金額全額の支払を受けることが困難となるということも理解しておきましょう。

まとめ

不倫は不法行為であり、配偶者と不倫相手に慰謝料を請求できます。慰謝料の額については特に決まりがなく、平均すると50~300万円といったところです。実際の慰謝料の額は当事者間の話し合いや裁判で決まり、不倫期間や婚姻期間によって左右されます。

相場以上の額の慰謝料を請求したいなら、できるだけ多くの不倫の証拠を集め、内容証明郵便で通知書を送り、請求しましょう。最初は希望額よりも多くの慰謝料を請求しておけば、希望額あたりで話し合いが決着する可能性が高いです。

慰謝料は3年で時効を迎え、請求権が消滅します。慰謝料を請求したい場合は注意しましょう。

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