嫁姑問題で離婚・慰謝料請求する前に知っておくべきこと

法律相談

「姑から小言を言われる」

「姑が夫婦生活に口出ししてくる」

「夫が姑にべったりで全く味方をしてくれない」

など、夫婦生活におけるいわゆる「嫁姑問題」に悩んでいる女性の方も多いのではないでしょうか。

嫁姑問題が日々の生活の大きなストレスとなり、離婚をしたいというケースもしばしば見受けられます。

この記事では、嫁姑問題を理由に離婚や慰謝料の請求を検討している方に向けて、事前に知っておいた方がよいポイントを解説します。

もううんざり!嫁姑問題の4つの事例

まずは嫁姑問題としてよくある事例を4つ紹介します。

共感できる部分がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

姑の過干渉

夫婦・家族の生活にいちいち首を突っ込む過干渉な姑は、妻にとって非常にいらいらする存在でしょう。

たとえば、

  • 掃除の仕方や食事について口を出してくる
  • 事前の連絡もノックもなく、勝手に家に上がってくる
  • 孫の教育方針について文句を言う
  • 孫をあまりにも溺愛している(いわゆる「孫フィーバー」)
  • 妊娠中や子育て中に、頻繁に電話やメールをしてくる

などのパターンが考えられます。

価値観や性格の不一致

姑と妻の価値観や性格がずれていると、些細なことから対立の原因となってしまいます。

姑の側が寛容な心を持っていれば問題ありませんが、中には自分と違う考え方を持っている妻に対して何でもかんでも否定するような姑も存在します。

さらに、「私のときは○○だった」などと現代に合わない価値観を押し付けてくる姑の場合、妻としてはたまったものではないでしょう。

嫁ハラスメント

「嫁だから」という理由でさまざまな面倒事を押し付ける行為を「嫁ハラスメント」ということがあります。

姑による嫁ハラスメントは、昔から一部の家庭で存在してきた悪しき伝統といえるでしょう。

たとえば、

  • 旦那の実家の家事を押し付けてくる
  • 先祖の墓参りや掃除を強制する
  • 将来介護してもらうことを前提に話してくる
  • 早く子どもを作るよう催促してくる

などの例が挙げられます。

子離れできない

自分の息子を取られたという意識が強く気分が悪いせいなのか、妻に対する当たりが異様に強い姑も存在します。

旦那が妻の見方をしてくれればある程度救いようもあるでしょう。

しかし、旦那がマザコン気質であったり、消極的な性格で手をこまねいていたりする場合には、妻としてはストレスが溜まる一方になってしまいます。

旦那の親が原因で離婚することは可能か

姑の問題行動に嫌気がさしてしまった場合、姑を理由に旦那と離婚することはできるのでしょうか。

離婚の方法は3パターン

姑を原因とする離婚が認められるかどうかは、どのような方法によって離婚をするかによって変わってきます

まずは、3つの離婚のパターンについて押さえておきましょう。

協議離婚とは

協議離婚は、夫婦の間で話し合った結果として離婚をすることをいいます。

夫婦が協議離婚について合意したのであれば、離婚の理由は何でもよく、姑を理由とする離婚についても認められます。

なお、協議離婚の場合は、親権や財産分与などについても、話し合いの中で決めることになります。

調停離婚とは

調停離婚は、裁判所に離婚調停を申し立てた上で、調停手続きによって離婚をすることをいいます。

調停手続きでは、調停委員が夫婦の間に入って話し合いを仲介します。

調停手続きでは、夫婦が直接面会をすることはないため、冷静な話し合いを行える可能性がたかいといえます。

調停離婚も協議離婚と同様、話し合いによる離婚ですので、離婚の理由は問われません。

したがって、姑を理由とする離婚についても認められます。

裁判離婚とは

裁判離婚は、裁判所に離婚訴訟を提起した上で、裁判官の言い渡す判決によって離婚をすることをいいます。

裁判離婚の場合、夫婦が離婚に合意できなくても、判決の内容に従って強制的に離婚が実現されます。

裁判離婚が認められるためには、民法に定められる離婚事由が存在することが必要です(民法770条1項各号)。

嫁姑問題を理由とする離婚の場合は、夫婦間に「婚姻を継続し難い重大な事由」(同項5号)が存在するかどうかを基準に、裁判離婚の可否が判断されます。

姑の言動を原因として離婚できるか?

裁判離婚における離婚事由に該当するためには、あくまでも夫婦間に婚姻を継続し難いと認められる事情があることが必要です。

そのため、姑の言動を離婚事由として認めてもらうには、その言動のせいで夫婦関係を続けていくことが難しいということを合理的に説明できなければなりません。

たとえば、単に「姑の嫌がらせがある」というだけでなく、「姑の嫌がらせに夫が全く対処してくれないため、夫婦関係が極端に悪化した」などと説明することが考えられます。

なお、離婚訴訟では離婚事由を証拠により立証する必要があります。

そのため、嫁姑間のやり取りや、それに対する夫の反応などを記録した日記・録音・録画などを集めておくと良いでしょう。

姑の認知症を原因として離婚できるか?

姑が高齢である場合、姑の問題行動の原因が認知症にあるというケースも考えられます。

この場合にも、単に「姑が認知症である」というだけでは離婚事由は認められず、夫婦関係の悪化・破綻に結びつけて説明する必要があります。

たとえば、姑の認知症の介護を妻が一手に引き受けており、夫が全く協力してくれないなどの事情があれば、離婚事由が認められやすくなるでしょう。

離婚する場合、親権問題や慰謝料請求はどうなる?

離婚をしようとする場合、親権や慰謝料の問題を避けて通ることはできません。

姑が旦那側に親権を渡すよう要求してきたら?

もし姑が親権問題に口を出してきたとしたら、どのように対処すれば良いのでしょうか。

この点、親権はどちらの親の元で育つのが子どもにとって良いかという観点から決定すべきものなので、姑が何を言ってきたとしても全く関係がありません。

そのため妻としては、夫との話し合いや調停・裁判の場で、親権に関する希望を論理立てて主張すればOKです。

なお、親権をどちらの親に与えるかについては、監護実績・生活環境・財産状況・子どもの意思などを総合的に考慮し、子どもの利益を重視して決定されます。

姑に対して慰謝料請求はできる?

離婚裁判はあくまで夫婦間の裁判なので、離婚裁判の中で姑に対して慰謝料を請求することはできません

姑に対して慰謝料を請求したい場合には、別途民事訴訟を提起して、不法行為(民法709条)に基づく精神的損害の賠償を請求することになります。

なお離婚裁判の中でも、姑の嫁に対する言動について、夫が黙認または加担していた場合には、その事実が離婚慰謝料の金額に反映されることもあります。

いずれにしても、姑や夫に対して慰謝料の請求を行う場合には、姑から受けた言動・夫の態度・被った精神的損害の金額などを証拠により立証することが必要です。

まとめ

嫁姑問題を理由とする離婚のハードルは高いですが、夫との話し合いや証拠の収集などの適切な準備や手続きを踏めば、離婚を実現することは可能です。

嫁姑問題で疲れきってしまい、一刻も早く離婚をしたいという方は、ぜひお早めに弁護士にご相談ください。

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