既婚女性の中には、夫の不倫癖、DV、モラハラに悩んでいる人も少なくないでしょう。夫婦関係がしっくりせず、離婚したいと考えている女性も案外多いのではないでしょうか。
離婚しようと思っても、自分が不利にならないか不安になることもあるでしょう。
例えば、こんなことを言ったら離婚を拒否されないか、慰謝料を請求されないか、子どもの親権を夫に取られないか…といったことです。
今回の記事では、離婚したい女性の皆さんの不安を解消していきたいと思います。
暴力はNG
夫の日頃の振る舞いにストレスが募り、思わず夫を叩いたり、夫にその辺の物を投げつけたりすることも、夫婦関係が悪化すればあり得えます。これは立派な暴力です。
暴力を振るった上で離婚請求しても、協議や調停で夫に拒否される可能性があります。
裁判になったら、「有責配偶者」の離婚請求として認められない可能性もあります。
離婚できたとしても、場合によっては、高額な慰謝料を支払わなければならなくなるかもしれません。
夫が被害届を出せば、暴行罪(刑法208条)として処罰される恐れもあります。夫が怪我をすれば傷害罪(刑法204条)になり、さらに厳しく処罰される恐れもあります。
当たり前ですが、夫に不満があっても暴力を振るっては絶対にいけません。
離婚にあたり不利になる言葉ってどんなもの?
根拠のない非難や誹謗中傷、他人への吹聴はNG
夫に対して良くない感情があると、つい暴言を吐いてしまうことがあります。
帰りが遅い夫に、根拠がないのに不倫と決めつけて怒鳴りつけたり、「バカ」「アホ」「くず」などと罵ることは、夫に精神的な苦痛を与えます。
また、「不倫を認めなければ親や会社にばらす」などと不利益をちらつかせて不倫を認めさせようとすれば、脅迫罪(刑法222条)、強要罪(刑法223条)として処罰される恐れもあります。
夫の不倫疑惑や夫への暴言を、実名や本人が特定できる形でSNSに書き込んだり、親や会社に伝えた場合には、名誉棄損罪(刑法230条)として処罰される危険性もあります。
誹謗中傷や吹聴等をすると、協議や調停が整わない場合、裁判では「有責配偶者」と判断され、離婚できない可能性があります。離婚が認められても、高額の慰謝料を支払わなければならなくなるかもしれません。
感情にまかせて暴言を吐くのはNGです。
子供に夫の悪口を言うのはNG
子供に対して、夫の悪口を言ったり、夫が不倫しているなどと話すのはやめましょう。
子供が精神不安定になり、自傷行為に及んだり家出するような事態になったら、児童相談所が介入する可能性があります。
児童相談所の見解次第では、裁判所が、離婚後の子供の親権者は夫が相当と判断する可能性もでてきます。
仮に、離婚後に女性が親権者になっても、夫と子供が面会交流することも多いでしょう。
面会交流時に、子が、あなたが過去に話していた夫の悪口を告げた場合、夫が感情を害して養育費の支払いが止めることも考えられます。
行き過ぎた財産分与や養育費の請求はNG
財産分与は、原則として、別居時点での夫婦双方の名義の財産の合計額の2分の1が目安となります。
養育費の金額は、夫婦双方の収入や子の年齢、人数等を基準として決まります。
裁判所は、一般的に「養育費算定表」を用いて、養育費の金額を算定します。
離婚調停において、女性側が夫に対して、このような基準から大きく外れた過大な財産分与や養育費を請求することがあります。
そのような請求が通ることはまずありません。また、自分の欲しい金額に固執しすぎると、離婚調停が長引き、なかなか離婚できなくなります。
調停での一貫性のない発言、あいまいな態度、嘘はNG
離婚調停で有利になりたくても、場当たり的な発言をしたり、調停員からの提案に対してあいまいな態度をとったり、また、嘘をついたりしてはいけません。
離婚調停を長引かせるだけではなく、有利な条件を導き出すこともできません。
調停では、正直かつ明白、一貫した態度で臨みましょう。
気をつけてほしい離婚前の行動
財産を隠ぺいしても財産分与は有利にならない
先ほど書いたように、財産分与の対象は、別居時点における夫婦双方の名義の財産の合計額です。
離婚調停の当事者の中には、財産分与で有利になろうと、別居直前に多額の預金を引き出して、別の口座に移す人が時折います。
夫婦の預金通帳は、離婚調停や訴訟で提出させられます。別居直前に引き出された多額の預金は、使い道について合理的な説明ができなければ、別居時点で存在していたと扱われることもあります。
財産の隠ぺいはやっても無駄です。
無理して証拠を取りにいかない
不倫の証拠をつかむために、夫と不倫相手を自ら尾行したりすると、気付かれた場合に警察に通報されてトラブルになりかねません。
探偵の費用は高額ですが、同席現場を把握する必要がある場合は、無理せずプロに任せましょう。
異性との交際は要注意
別居後に異性と交際しても、一般的には不貞とはならず、それにより離婚ができなくなったり、慰謝料を支払わなければならなくなったりはしません。
ですが、同居中や別居直後に異性との交際が発覚すると、その異性との関係が理由で、離婚を切り出したのではないかと疑いを持たれます。
場合によっては、「有責配偶者」として離婚請求が認められなくなったり、慰謝料を支払う必要が生じる場合もありえます。
異性との交際は慎重に行いましょう。
子供を連れての別居は計画的に
女性としては、特に子供が年少の場合、別居時に子供を連れていきたいと考えるものでしょう。
乳児やそれに近い年齢の場合には、子供の養育に母親の存在が不可欠なので、子を連れていくことが問題視されることは少ないといえます。
しかし、子供が少し年長の場合は、夫が、引き渡しや監護権を主張する審判・調停を申し立て、その結果、子供を夫の元に戻すよう裁判所から言い渡されるケースもあります。
例えば、子供を突然転校・転園させて、それまで慣れ親しんだ環境から途絶するケースや、女性が働きに出る間、子供が放置されるケースなどが考えられます。
裁判所が審判や調停で、子供を夫の元に戻すよう判断した場合、離婚調停や裁判でも、親権が夫に認められる傾向にあります。
子供を連れて別居する場合には、子供の環境を激変させない、自分の不在時でも子供が放置されない環境を予め調整しておくなど用意をする必要があります。
離婚準備は極秘に進め、弁護士に相談を
離婚を考えているときは、よほど円満離婚でない限り、準備していることを相手に悟られないことが必要です。
相手に悟られると、不倫の証拠を隠されます。
通帳を隠されたり、預金や現金をネットバンクに移されたりして、相手がどれだけ財産を持っているのかを調べられなくなります。
別居の準備がばれたら、阻止されるでしょう。
離婚準備は、相手にばれないように、極秘に進めましょう。
離婚を切り出すのは、準備が全て整ってから、あるいは別居後に置手紙をする方法で全く問題ありません。
計画的に離婚準備することは、専門家の助力がないと難しいものです。
離婚に詳しい弁護士であれば、離婚準備の進め方を適切に教えてくれます。
離婚を考えたら、まず詳しい弁護士に相談しましょう。