子どもとの面会交流を支援する第三者機関|サポート内容や利用料金などを紹介

法律相談

子どものいる夫婦が離婚した後、親権者でない側は、子どもと定期的に面会交流を行うことが望ましいです。しかし、元夫婦間の関係性が良好でない場合は、面会交流がスムーズに行われないケースもよくあります。

子どもとの面会交流がうまくいかない場合は、第三者機関の支援を利用することも有力な選択肢です。

本記事では、面会交流を支援する第三者機関について、代表例・サポート内容・料金などをまとめました。

※本記事は2023年7月18日時点の情報を基に作成しています。

 

子どもとの面会交流と第三者機関

夫婦が離婚した後、親権者でない側の親と子どもの面会交流については、第三者機関が支援を行っています。

面会交流とは

「面会交流」とは、子どもの親同士が離婚した後、親権者でない側の親と子どもが会って交流することをいいます。子どもの心理的な安定や、人格形成などの観点からメリットがあると考えられるため、定期的に面会交流を行うことが推奨されます。

面会交流に関する条件は、離婚時に取り決めるのが一般的です。具体的には、以下のような条件を取り決めます。

  • 面会交流の頻度
  • 面会交流をする場所
  • 子どもの受渡し方法
  • 宿泊の可否
  • 面会交流時の費用負担
  • 子どもに対する普段の連絡の可否

面会交流に関する話し合いがまとまらない場合は、離婚後に家庭裁判所の調停・審判を通じて取り決めることもできます。

参考:面会交流調停|裁判所

子どもとの面会交流をサポートする第三者機関

離婚した親同士の関係性が良好でない場合、子どもとの面会交流がスムーズに行われないことがあります。

たとえば、親権者が元配偶者による子どもの連れ去りを懸念している場合には、子どもだけで元配偶者に会わせたくないと考えるケースが多いでしょう。

また、親権者や子どもが元配偶者からDVを受けていた場合には、子どもだけで面会交流に向かわせることは不適切と考えられます。

このような場合には、中立的な立場にある第三者機関に対して、面会交流の支援を依頼することが考えられます。付き添い、子どもの受渡しへの立ち会い、親同士の連絡の調整などを通じて、面会交流がスムーズに行われるようにサポートしてもらえます。

自治体型と民間型|料金無料もあり

面会交流を支援する第三者機関は、自治体が運営するもの(自治体型)と民間団体が運営するもの(民間型)の2つに大別されます。

①自治体型

自治体型の第三者機関のメリットは、交通費・施設利用費などの実費を除いて、面会交流の支援を依頼する際の費用が原則無料である点です。

ただし、自治体型の第三者機関を利用するためには、所得制限など一定の要件を満たす必要があります。また、面会交流の支援を提供しているかどうかは、自治体によって異なります。

参考:面会交流支援|東京都ひとり親家庭支援センターはあと

 

②民間型

民間型の第三者機関を利用する際には、自治体型とは異なり、実費以外の依頼費用が発生します。その一方で、民間型の利用要件は自治体型よりも緩やかであり、基本的には所得にかかわらず利用できる点が大きなメリットです。

参考:親子交流支援団体等(面会交流支援団体等)の一覧表|法務省

代表的な面会交流の民間型第三者機関|エフピック(FPIC)

面会交流を支援する民間型の第三者機関としては、「公益社団法人家庭問題情報センター(通称:エフピック(FPIC))」が幅広く利用されています。

参考:公益社団法人家庭問題情報センターHP

エフピックは、元家庭裁判所調査官らが中心となって設立した公益社団法人です。家庭問題に関する電話相談、夫婦関係についてのADRのほか、面会交流の支援などを取り扱っています。

家庭裁判所においても、面会交流調停がこじれてしまった場合には、エフピックの利用を推奨するケースがあるようです。

所得制限や地域の問題などが原因で、自治体の面会交流支援を利用できない場合には、エフピックの利用をご検討ください。

面会交流に関する第三者機関のサポート内容・料金

面会交流に関する第三者機関のサポート内容としては、主に以下の例が挙げられます。

  1. 付添い型
  2. 受渡し型
  3. 連絡調整型
  4. 短期支援

エフピックを例に、各サポートの概要および費用を紹介します。

なおエフピックでは、上記各サポートの依頼費用に加えて、事前相談料と申込金が必要になる点にご注意ください。

参考:支援内容・費用|公益社団法人家庭問題情報センター

付添い型

「付添い型」のサポートを依頼すると、実際の面会交流の場に支援者が同席します。

子どもだけで元配偶者に会わせるのが不安な一方で、親権者自ら立ち会うのが難しい事情がある場合には、付添い型のサポートを依頼するとよいでしょう。

エフピックの場合、付添い型の利用料金は、2時間まで1万5,000円から2万円、3時間まで2万円から2万5,000円(いずれも税込)です。

具体的な金額は、子どもの年齢や人数などによって設定されます。支援者の分も含めて実費(交通費・施設入場料など)が必要となるほか、複数の支援者が必要な場合は利用料金が5割増しとなります。

受渡し型

「受渡し型」のサポートを依頼すると、面会交流時に子どもを受け渡す場面に支援者が立ち会います。実際の面会交流の場には、支援者は同席しません。

元配偶者に子どもを託してもよい一方で、ご自身は元配偶者と顔を合わせるのが困難な場合は、受渡し型のサポートを依頼するとよいでしょう。

エフピックの場合、受渡し型の利用料金は、1回当たり1万円から1万5,000円(税込)です。受渡し場所がエフピックの事務所から遠方の場合は、支援者の交通費が必要となります。

連絡調整型

「連絡調整型」のサポートを依頼すると、支援者に面会交流の場所や日時などを調整してもらえます。支援者は双方の親に連絡をとり、場所や日時などの調整を行います。子どもの受渡しや実際の面会交流には、支援者は同席しません。

面会交流全体を自力で実施しようと考えているものの、親同士が連絡を取り合うことが困難な場合は、連絡調整型のサポートを依頼するとよいでしょう。

エフピックの場合、連絡調整型のサポートを依頼できるのは、付添い型または受渡し型のサポートを従前利用した方に限られます。連絡調整型のサポートのみを依頼することはできません。

連絡調整型の利用料金は、1回当たり3,000円(税込)です。

短期支援

エフピックでは、短期間の支援(1回または2回)を受けた後、自力で面会交流を実施できると考えている方に向けた短期支援のサポートを提供しています。

短期支援のサポートは、エフピック相談室内またはその周辺地域において、付添い型で1回当たり1時間程度実施されます。

短期支援の利用料金は、1回当たり1万5,000円から2万円です。

まとめ

親と子どもだけでの面会交流が困難な場合でも、第三者機関の支援を利用すれば、面会交流をスムーズに行える可能性があります。

過去のDVやモラハラなどによって大きな支障がある場合を除き、非親権者との面会交流は、一般に子どもの成長や人格形成の観点からプラスに働くと考えられます。必要に応じて第三者機関の支援を利用して、適切に面会交流を行うように努めましょう。

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