不倫相手の奥さんから不貞行為の慰謝料請求されたら|内容証明が届いたらどうする?

法律相談

既婚者の男性と交際していたところ、奥さんから不貞行為の慰謝料を請求されてしまった!請求されたらどうするの?

このようなお悩みをお持ちの方の場合には、請求の内容を法的に検討した上で、冷静に対応することが大切です。速やかに弁護士へご相談の上で、今後の対応を検討しましょう。

今回は、不倫相手の妻から不貞行為の慰謝料を請求されたらどうするか、不倫相手の奥さんから内容証明が届いたらどうするか、減額は可能か、無視してもいいかなど対処法を解説します。

不貞行為の慰謝料とは

不貞行為の慰謝料とは、配偶者以外の者と性的関係を持つ行為(=不貞行為)について、被害者が加害者(=配偶者or不倫相手)に請求できる精神的損害の賠償金です。

不貞行為とは

「不貞行為」とは、配偶者以外の者と性的関係を持つ行為をいいます。

不貞行為は犯罪ではありませんが、夫婦の貞操義務に違反する行為として、法定離婚事由(民法770条1項1号)および不法行為(民法709条)に該当します。

慰謝料とは

「慰謝料」とは、精神的損害の賠償金です。不貞行為は不法行為に当たるため、被害者は加害者(=配偶者or不倫相手)に対して慰謝料を請求できます。

不貞行為の慰謝料は、配偶者と不倫相手のどちらに請求してもよく、金額の割り振りも被害者の判断で決められます。

ただし、不倫相手のみから不貞行為慰謝料の支払いを受けた場合、後に不倫相手が配偶者に対して求償する可能性があります。特に配偶者と離婚しない場合には、不倫相手による求償に注意が必要です。

不貞行為の慰謝料請求の流れ

不貞行為の慰謝料請求は、大まかに以下の流れで進行します。

①裁判外での交渉

メール・電話・内容証明郵便などを通じて、不倫相手の妻から慰謝料の請求を受けます。請求を受けた側は、慰謝料を支払うべきか否か、支払うべきだとすればその金額を検討した上で、不倫相手の妻に対して返答します。

慰謝料請求に関する交渉は、本人が自分で行うこともできますが、弁護士に依頼して代わりに行ってもらう方が、精神的な負担が小さく済むことが多いです。内容証明郵便が届いたらまず弁護士に相談をしましょう。

②示談書(和解合意書)の作成・示談金の支払い

慰謝料の支払いについて合意できたら、その内容をまとめた示談書(和解合意書)を作成します。作成後、示談書の内容に従って示談金を支払います。

③決裂した場合は訴訟に発展する可能性大

慰謝料の支払い交渉が決裂した場合、不倫相手の妻は慰謝料請求訴訟を提起する可能性が高いです。

訴訟では、原告となる不倫相手の妻が、不貞行為の事実を証拠に基づき立証します。慰謝料請求を受けた側は、不貞行為の事実を否認して争うことになります。

審理が熟した段階で、裁判所は判決を言い渡します。判決に対しては控訴・上告が認められており、判決確定に至るまで1年以上の長期間がかかるケースも多いです。

不貞行為の慰謝料を請求されたら|注意点を解説

不倫相手の妻から慰謝料請求を受けた場合は、一度冷静になって対応を検討することが大切です。特に以下の各点を十分に意識しつつ、弁護士のアドバイスを受けながら適切にご対応ください。

内容証明郵便が届いたら、すぐに相手へ連絡することは避ける

内容証明郵便が届いたら、そして慰謝料請求を受けた場合、一方的に慰謝料の支払期限が記載されていることが多く、驚いてすぐに相手と連絡を取ろうとする方がいらっしゃいます。

しかし、相手へ連絡する前に請求内容を精査して、本当に慰謝料の支払い義務があるのかどうか、相手の請求どおりに払うべきなのかどうかを確認することが必要です。ご自身で判断できない場合は、弁護士にアドバイスを求めましょう。

不貞行為慰謝料の支払いにつき当事者同士で話し合おうとすると、感情的な言葉をぶつけ合った結果、トラブルがいっそう深刻になるおそれもあります。

そのため、不貞行為慰謝料の請求を受けたら一度冷静になり、すぐに相手へ連絡をとることは避けて弁護士に相談することをお勧めいたします。

無視はNG|十分検討した上で返信を

不貞行為慰謝料の請求について、相手の主張が事実と異なる場合でも、請求を完全に無視してしまうことは得策ではありません。相手の怒りを増幅させた結果、慰謝料請求訴訟に発展するリスクが高まるからです。

事実と異なる部分があれば、その部分と理由を指摘する内容の返信を行い、建設的に議論するよう努めましょう。なお返信する前に、法的な観点から十分な検討を行うべきことは言うまでもありません。

脅しは受け入れない|弁護士や警察に相談を

不倫の被害者という立場を悪用して、脅迫的な手段を用いて不貞行為慰謝料を請求するケースが稀に見受けられます。

(例)
「慰謝料を支払わなければ、会社にその事実を言いふらす」
「慰謝料を支払わなければ、家族に対して嫌がらせをする」

など

脅迫的な手段を用いて不貞行為慰謝料の支払いを求めることは、恐喝罪(刑法249条)に該当する犯罪行為です。

不貞行為慰謝料について不当な脅しを受けた場合には、決して屈することなく警察や弁護士にご相談ください。

慰謝料は減額交渉の余地がある

不貞行為慰謝料の請求を受けたとしても、相手方の言い値で支払う必要はありません。減額を見越して高めの金額を請求するのが通常であり、客観的な慰謝料額はもっと少ない可能性が高いからです。

不貞行為慰謝料の金額相場は100万円から300万円程度で、不貞行為に関する具体的な事情によって変化します。どのくらいの金額が適切であるかについては、弁護士にアドバイスを求めましょう。

もし相手の請求額が不当に高い金額である場合には、合理的な水準まで減額することを求めるべきです。減額交渉についても、弁護士に相談すれば依頼できます。

慰謝料を支払う必要がない場合もある

既婚者である不倫相手と性的関係を持ってしまった場合でも、法的には慰謝料の支払い義務が発生しない場合もあります。

たとえば以下のような場合には、慰謝料の支払いを拒否できる可能性が高いです。

(例)
・性的関係を持った当時、不倫相手の婚姻関係が破綻していた場合
・不倫相手が既婚者であることを知らず、かつ知るきっかけもなかった場合
・性交渉には及んでいない場合(デートをしたにとどまるなど)
・慰謝料請求権の消滅時効が完成している場合

など

相手方の主張する不貞行為慰謝料を支払う義務があるかどうかは、法的な問題が関係するため、判断が難しいケースが多いです。今後の対応方針を適切に定めるためにも、弁護士に相談しながら検討することをお勧めいたします。

不貞行為の慰謝料請求を受けたら・内容証明届いたら弁護士に相談を

不貞行為慰謝料の請求を受けてしまったら、また内容証明が届いたら、速やかに弁護士へ相談しましょう。

弁護士は、不貞行為に関する事情を丁寧に分析した上で、慰謝料を支払う必要があるか否か、支払うべき場合はその金額などについてアドバイスします。法的な結論・見通しを知ることで、今後の対応方針を適切に定めることが可能となります。

また、相手方との示談交渉や訴訟手続きへの対応についても、弁護士に依頼すれば一任できます。

弁護士の知見と経験を活かして適切に対応してもらえるほか、ご自身で対応する場合に比べてストレスが大幅に軽減される点が大きなメリットです。

弁護士に対応を依頼すれば、不貞行為に関するトラブルをスムーズに解決できる可能性が高まります。不貞行為慰謝料の請求を受けてお困りの方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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