離婚の弁護士費用はいくらかかる?誰が払う?

法律相談

配偶者と離婚するのに弁護士に依頼したいけれど、費用が高そうで悩んでいる方は少なくないでしょう。

そこで今回は、離婚の弁護士費用がいくらかかるのか、だれが払うべきなのかについて解決していきます。

離婚の弁護士費用はいくらかかる?

はじめに、離婚事件を依頼する際に弁護士費用が概ねどれくらいかかるかについて解説します。

離婚弁護士費用の決め方

離婚事件の弁護士費用を決めるうえで、基本的な事項について解説します。

日弁連旧報酬基準について

弁護士費用については、2004年3月まで、日本弁護士連合会が報酬基準を定めており、各弁護士はこれに乗っ取って弁護士費用を取り決める必要がありました。

しかし、その基準は現在廃止されており、弁護士費用は自由化されています。

そのため、弁護士によって、異なる費用基準が定められています。

ただし、現在も旧報酬基準にしたがって弁護士非夜を取り決めている弁護士も少なくなく、そのため旧報酬基準は現在においても標準的な弁護士費用を提示するものということができます。

そのため、標準的な弁護士費用を知りたい場合には、日弁連の旧報酬基準を確認すると参考になります。

弁護士費用の構成

弁護士費用は以下の費目によって構成されます。

  1. 実費:
    離婚事件であれば、調停申立費用や訴訟提起費用、各種調査のために必要な費用などが挙げられます。一般的には依頼時に多めに弁護士に渡しておいて、事件終了後に清算し、余剰がある場合には返金されます。途中で不足が生じた場合には追納してもらうこととなります。
  2. 着手金:
    原則的に、弁護士に対して事件を依頼したときに支払うもので、いわゆる「ファイトマネー」に該当するものです。
  3. 成功報酬:
    弁護士が介入した事件について成果が発生したときに支払うものです。契約時に経済的利益の〇%などと料率を決めておいたり、「着手金と同額」などと決めておくこともあります。
  4. その他:
    調停期日に出席するごとに「日当」が発生したり、遠方の裁判所に出頭する場合出頭日当が発生する場合があります。

離婚弁護士費用は100万円を超えることもある

では実際に、離婚調停を例にとって、弁護士費用がおおよそいくらかかるか検討していきます。

相談料

事件を依頼するにあたっては、まず弁護士に法律相談するのが通常です。

標準的な法律相談料は、30分5500円(消費税込)です。

最近は、初回相談料を無料としている法律事務所も増えており、そのような事務所に相談すると、相談費用はかかりません。

また相談料が有料の場合でも、事件を依頼すれば、相談費用がかからなくなる場合も少なくありません。

実費

実費は、事件によって、数千円から1万円ほどかかるのが通常です。

戸籍謄本は調停の提出資料ですし、すでに別居しているときは住民票の取得が必要なこともあります。

申立の手数料が1200円、裁判所に予納する郵便切手が約1000円かかります。

また、財産分与のために調査が必要になる場合もあります。

先ほど述べたように、実費は予め弁護士に納め、事件終了時に余剰がある場合には返還されます。

着手金

離婚調停の着手金は、22万円から33万円程度(消費税込)が標準です。

しかし、例えば親権争いが深刻化している場合や多数の財産があり、調停が長期化することが予め明らかになっている場合には、44万円、55万円(同上)と着手金が高額になる場合もあります。

成功報酬

成功報酬は、経済的利益の5%から15%程度で取り決められることが多く、財産分与や慰謝料などの金銭請求が主な争点の場合には、取得した金額に、あらかじめ定められた料率をかけて成功報酬の額が決まります。

金銭請求がなく、あるいは金銭請求に付随して、他の問題(親権や面会交流の頻度)が争点となる場合には、定額の成功報酬が設けられます。

その他

日当は近隣の裁判所であれば1万1000円程度(消費税込)、遠方の裁判所に赴く場合には3万3000円程度(同上)とされることが多いでしょう。

小括

以上の費目の弁護士費用をトータルすると、離婚調停においては、50万円から100万円程度の弁護士費用がかかります。

調停で離婚が成立せず、訴訟を提起する場合には、さらに費用が追加されることとなります。

離婚弁護士費用のよくある質問

以下では、離婚事件の弁護士費用についてよくある質問について回答していきます。

離婚弁護士費用はだれが払うか?

弁護士費用は、弁護士に依頼する本人が支払うのが一般的です。

夫婦の問題なので、夫婦で費用を折半することになるのではないかと考えている人もいるようですが、そうではありません。

ただし、DVや不貞等を理由とする慰謝料を離婚訴訟の際に併せて請求する場合、慰謝料の10%程度の金額を弁護士費用として請求することがあります。

裁判所が慰謝料を認定する際も認定額の10%の弁護士費用を支払うよう相手方に命ずる場合が少なくなく、その限りで弁護士費用の一部を相手方に負担させることができるといえます。

なお、弁護士は自身の依頼者の相手方から利益を享受することはできないと弁護士法上定められているので、当事者間で相手方が弁護士費用の支払いに同意した場合でも、弁護士は受け取ることはできないと考えられます。

離婚弁護士費用が払えない場合は?

日本では、主に妻の収入が少なく、そのために離婚調停や離婚訴訟をする場合でも、高額な弁護士費用を払えないという方が少なくありません。

このように資力が一定以下の人が離婚などの事件を弁護士に依頼する場合には、日本司法支援センター(法テラス)の支援を受けることが可能です。

法テラスは、法律問題の相談窓口を設置していたり、経済的に困難な状況にある人が弁護士を利用できるよう支援している独立行政法人です。

具体的には、弁護士に依頼する際に、自身の資力を示す資料などを法テラスに提出して審査を受け、審査を通ったら、法テラスが弁護士費用を立て替えることとなります。そして、法テラスが立て替えた弁護士費用を、利用者は月々5000円ないし1万円ずつ償還していくこととなります。

なお、依頼時に生活保護を受給している人は立替金の償還が猶予され、事件終了時も生活保護受給中であれば、償還が免除されることとなります。

法テラスの利用には、その弁護士が法テラスと契約していることが必要になります。

そのため、法テラスを利用したい人は、相談しょうと考えている弁護士が法テラスと契約しているか、予め確認しておくとよいでしょう。

離婚弁護士費用は分割払いできるか?

法テラスを利用する場合を除いて、一般的に弁護士費用は一括払いとされています。

しかし最近は、依頼者の経済的な事情に対応して、分割払いに対応する弁護士も増えて来たようです。

ただし、このような場合でも、その後の活動費用である実費については一括払いを求められることがほとんどといえます。

また、少数ながら、クレジットカード払いに対応する法律事務所もあるようです。

ご自身の事情に応じて、支払の方法については弁護士に相談をするのが良いでしょう。

まとめ

先にも述べたとおり、弁護士費用は2004年4月1日に自由化され、昨今は、費用の額や支払の方法などが弁護士によって多様化することとなりました。

その分、弁護士を利用する方が、自身の事情に応じて弁護士を選択することが可能となったといえます。

複数の弁護士に相談して相見積もりをとったり、自分の予算をあらかじめ決めておいてそれに見合った弁護士を探したりすることが可能です。

近年は、離婚事件も弁護士に依頼するのがスタンダードとなりました。

費用面について心配し過ぎることなく、離婚問題を弁護士に依頼し、有利な解決を図るようにしていただければと思います。

この記事を執筆した人
寺林 智栄 弁護士

NTS総合弁護士法人札幌事務所。webメディアにおける法律関連記事の執筆・監修も多数手がけている。
■URL https://www.attorneyterabayashi.com/

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