配偶者が不倫をしていることが分かった。
配偶者も不倫相手も許せない。二度と不倫させたくない。
そのために誓約書をとりたいけど、そもそもそんなに有効なのかな?
このような悩みを抱えている方もいらっしゃると思います。
本稿では、配偶者が不倫をした場合に誓約書を作成することのメリットや、実際の例文について解説をしていきます。
不倫の誓約書を相手に書かせるべき理由・メリット
不倫の事実を明確にする
誓約書とは、今後二度と配偶者と不倫関係を持たないことを配偶者や不倫相手に誓わせるものです。
誓約書には、誓約の前提として、不倫の事実を具体的に記載して、どのような関係があったかを明確にさせることが有効です。例えば、いつから不倫関係にあったか、何回会ったか、性交渉をしたのは何回かといった内容です。
このような内容を盛り込んで最終的に署名捺印することで、不倫関係を覆したり、矮小化することは困難になるといえます。
ただし、あまり詳細な内容を盛り込もうとすると配偶者や不倫相手が抵抗して、誓約書自体交わすことが難しくなる危険性があります。
また、あまりに威圧的に認めさせて署名捺印した場合には、仮にその後慰謝料請求の訴訟などになった際に、その点を主張され誓約書の有効性を争われる危険性もあります。
ですので、あまり詳細に事実を認めさせることはしないようにすることも大切です。
慰藉料の金額と方法を明確にできる。
誓約書においては、二度と不倫関係を持たないことを誓約するとともに、これまでの不倫関係によって精神的苦痛を与えたことを根拠に支払ってもらう慰謝料の金額や支払方法(一括か分割かなど)を明記することとなります。
誓約書に慰謝料の内容について明記しておけば、仮に支払ってこなかった場合には、これを元に訴訟を提起するなどして請求することが可能となります。
ただし、あまりに法外な金額を定めてしまうと、支払いがなく、訴訟などになった場合に、公序良俗違反と判断され条項が無効になってしまう危険性があります。
さらに、「不倫の事実を明確にする」でも述べたように、威圧的に交渉を行い、金額を無理やり決めた場合には、やはり同じように訴訟になった場合に、無効と判断される可能性があります。
なるべく高額な「不倫の代償」を得て、不倫の再発を防止したいという気持ちになる方も少なくないでしょう。しかし、後々のことを考えると、気持ちを抑えることも必要です。
「今後一切関わらない」という再発防止策を明示できる。
誓約書の一番の目的は、二度と不倫をしないことを誓約させることです。
昨今は、接触方法が多岐に及んでいるので、方法も具体的に記載するのが良いと考えられます。
対面で会うことはもちろん、電話の着信拒否、SNSのブロックをさせることなども、現代では必要でしょう。
もし可能であれば、目の前で、電話の着信拒否やSNSのブロックをさせて、それを確認したことを誓約書に盛り込めば、さらに安心といえるでしょう。
ただし、不倫相手と配偶者の勤務先が同じである場合や、ふたりの気持ちが強い場合には、このような条項を設けても、結局何らかの方法で不倫が再燃することはあり得るので、100%再発が防止できるわけではありません。
違反時のペナルティを設定しておくと再発抑止に有効なこともある
今後一切関わらないという誓約をしたにもかかわらず、再び不倫をした場合に備えて、ペナルティを予め課しておくことも、このような誓約書では割とよく見られるもので、一定の再発抑止効果はあると思われます。
一般的にペナルティとして定められるのは罰金で、例えば、1回不倫するごとに50万円などと記載しておきます。
また、配偶者との誓約書においては、次に不倫をしたときには離婚をし、子の親権者を不倫された配偶者にするなどといったペナルティを入れることもあります。
しかし、ペナルティが甘ければ、再発抑止効果は薄いです。
逆に、厳しいペナルティを課すと、ばれないように対策を練って不倫をするようになり、その後、不倫をしていそうなのだけれども証拠がつかめないということが出てきます。
配偶者が相手や子に対する愛情がない場合は、離婚をペナルティにしてもあまり意味はありません。
そのため、ペナルティにはあまり過大な期待はしない方がよいといえるでしょう。
不倫誓約書の書き方・例文
不倫の誓約書は、不倫をした配偶者に書かせるものと不倫相手に書かせるもののの2種類が想定されますが、ここでは、配偶者に書かせるものを想定して、
例文を紹介していきます。また、仮に夫が不倫をしたという設定で、以下、紹介していきます。
不倫誓約書の例文
- <前文>○○((夫)以下、甲という。)は、△△との不倫について、××((妻)以下、乙という。)に対し、以下のとおり誓約します。
第1条 甲は、△△と以下のような不倫関係にあったことを認め、乙に対し、これを謝罪します。
- ア 期間 20××年×月から同年×月まで
- イ 性交渉の回数 ×回
第2条 甲は、今後一切、△△との接触及び△△以外の女性と不倫関係を持たないこと、乙に対する貞操義務を順守することを誓約します。
第3条 乙は、甲が乙の目前で、△△の電話番号を着信拒否したこと及びSNSの△△のアカウントをブロックしたことを確認しました。
第4条 甲は、△△との不倫により乙に与えた精神的苦痛に対する慰謝料として、100万円を支払う義務があることを認め、20××年×月末日限り、直接乙に手渡しして支払います。支払いが遅れた場合には、年3.0%の遅延損害金を支払います。
第5条 甲は、今後、△△やその他の女性と不倫関係を持った場合には、罰金として乙に対し、1回につき50万円を支払うことを約束します。
第6条 甲は、今後、△△やその他の女性と不倫関係を持った場合、乙の離婚請求に速やかに応じ、かつ、甲乙間の子■■の親権者を乙とすることに異を唱えません。
甲乙は、甲が本書面で誓約した内容及び乙が確認した内容を証するために、本書面を2通作成し、甲乙それぞれ署名捺印の上、各1通ずつ所持するものとする。
不倫の誓約書を公正証書にすることのメリット
不倫の誓約書は、当事者間だけで作成して終わらせても問題ありませんが、公証役場で公正証書にしてもらうことも可能です。
公正証書にすると、証拠としての価値が高まり、仮に、配偶者が再度不倫をした場合に裁判で証拠として提出すると、配偶者が内容の無効などを主張しても、当事者間で作成した書面に比べれば、信用されやすいでしょう。
また、執行認諾文言というものを付せば、約束の期日に慰謝料の支払いがない場合には、わざわざ裁判を起こさなくても、強制執行が可能であり、例えば、配偶者の預金や給与を差し押さえることができます。
公正証書の作成には費用がかかりますが、配偶者の支払いや今後の行動が信用できないような場合には、作成するメリットがあるといえます。
まとめ
今回は、不倫の誓約書について解説してきました。
先にも述べてきたとおり、不倫の誓約書を作成するのは実際に困難を伴うこともあり、配偶者や不倫相手から抵抗を示されて、なかなか思ったとおりの誓約書を作成できないことも少なくありません。また、威圧的な態度をとったり、法外な内容を盛り込むこともできません。感情を抑えることも必要です。誓約書の作成には、大きなストレスがかかります。
そのため、不倫の誓約書を作成したい場合には、男女問題に詳しい弁護士に相談したり依頼することが有効です。
不倫の誓約書の作成に悩まれている方は、ぜひ相談してみてください。