母親は損な役回り?「ママに怒られるよ」とは
子どもの躾は時に厳しく、愛情を持って接しているつもりでも、悪役にされてしまうことが多いママですが、なぜ「ママに怒られるよ」という言葉が使われるのでしょうか。
母親が抱えるジレンマと損な役回り
現代の親子関係においては、親が子どもに嫌われることを恐れ、叱ることを避ける傾向が見られます。そのため、父親の代わりに母親が子どもを叱る役割を担うことになりますが、「子どもを傷つけないように叱るべきだ」といった社会的な期待に板挟みになることもあります。
このような状況の中で、母親は常に難しい立場に置かれることになります。必要な指導を行いつつ、過度な厳しさは避けたいと考えます。一方で、甘やかしすぎれば子どもの自律性や責任感の育成が疎かになってしまいます。そのジレンマの中で、母親たちは日々バランスを取ることを求められているのです。
また、自己責任を認めず、他人のせいにする子どもには、後になって支援するのが難しくなるため、母親は一定程度の「損な役回り」を引き受ける必要があります。
旦那が「ママに怒られるよ」と言う
父親が「ママに怒られるよ」と言うことで、無意識のうちに母親を「怒る人」「厳しい人」という役割に押し付けてしまうことがあります。一方で、夫が子どもに寛大に接し「優しいお父さん」として振る舞う一方で、自分だけが子どもの嫌いなことを強いる役割を押し付けられていると感じている母親もいます。そのような不公平な状況に母親は腹を立ててもおかしくありません。
子どもの目には、お父さんは優しくて、お母さんは怖い存在という印象が植え付けられる可能性があります。また、「ママに怒られるよ」という言葉は、父親が自身の育児における責任を回避しているとも考えられます。
子どもの行動を正す必要があるときは、それが両親の責任であり、「ママに怒られるよ」と言って責任を転嫁するのではなく、その場で適切な指導をすることが望ましいでしょう。
祖父母や周囲の大人が甘やかす
祖父母や周囲の大人が子どもに寛大に接することがあり、その結果、子どもから「厳しいママ」と見なされがちです。例えば、祖父母が孫にジュースやお菓子を気軽に与えようとする一方で、母親は「習慣化しないよう」と制限をかけます。子どもは「ママがダメって言うから…」と母親の反応を伺い、母親だけが悪者扱いされる状況が生まれます。
このような環境では、母親は自分だけが厳しい役割を押し付けられているように感じ、不満や孤独を抱えることになります。さらに、母親自身も「嫌われたくない」という気持ちから、厳しい躾に葛藤を感じることも少なくありません。周囲の大人が母親のしつけ方針を理解し、協力することが本来は重要です。
母親が嫌われ役ならどのように対処すれば良い?
子どもの躾に苦労する日々、時には孤独を感じることもあるでしょう。しかし、その悩みを抱えるのはあなただけではありません。多くのママが直面するこの問題に対し、具体的な対処法を紹介します。
率直な話し合い
夫婦で子育ての在り方について、率直に話し合うことが重要です。まずは、「私一人が厳しい母親の役割を担うことで、子どもとの関係に不安を感じている」といった自分の気持ちを、素直に伝えましょう。
次に、夫婦で子育ての方針を共有し、互いの立場や考えを理解し合うことが大切です。具体的には、宿題の対応や食事のマナーなど、場面に応じて役割分担を決めていくと良いでしょう。
例えば、「今日から宿題はパパがチェックするね」と子どもに伝えることで、母親だけが注意する人という図式を変えていくことができます。また、「パパとママで決めたルールだから」と伝えることで、両親が一緒に子育てに取り組んでいる姿勢を示すことができます。
このように、父親と母親が同じ方針で子どもに接することで、子どもが混乱したり、母親だけが悪者になる状況を防ぐことができます。
心のケアと息抜き
時には子どもから「うるさい」「きびしい」と言われ、心を痛めることもあります。
平日の短い時間でも、工夫次第で自分の息抜きの時間を作ることができます。例えば、子どもが学校に行っている間の30分だけコーヒーを飲みながら音楽を聴いたり、夕食の準備を終えた後に10分だけストレッチをしたり、寝る前にアロマオイルを焚いてリラックスするなど、小さな贅沢を日課に組み込むことができます。
また、同じような立場の母親たちとの交流も大切です。子育ての悩みを共有したり、アドバイスを得たりすることで、精神的な支えになります。SNSやママ友とのコミュニケーションを通じて「自分だけじゃないんだ」と感じることは、大きな励みになるはずです。
さらに、自分の気持ちを日記に書き留めるのも良い方法です。その日あった出来事や感じたことを素直に書き出すことで、気持ちの整理ができます。後から読み返すことで、子どもの成長や自身の変化も実感できるでしょう。
子どもとコミュニケーション
子どもとのポジティブな対話は大切です。説明するタイミングも重要です。子どもがリラックスしている時、例えば寝る前の落ち着いた時間に話すと、より受け入れやすくなります。「これをすると、こんないいことがあるよ」と、ポジティブな結果を示すのも効果的です。
具体的な方法としては、平日の夕食後に15分でも一緒に絵を描いたり、休日の朝に二人でお菓子を作ったりと、短い時間でも質の高い関わりを持つことが大事です。また、宿題を頑張った時には「よく考えたね」、お手伝いをしてくれた時には「助かったよ、ありがとう」など、子どもの具体的な行動を認める言葉がけを意識的に増やすことも大切です。
さらに、子どもが興味を持っていることに共感を示すのも効果的です。例えば、好きな本の話を一緒にする、趣味のことを教えてもらう、新しく覚えた言葉や技術を披露してもらうなどです。
このような関わりを通じて、母親が単に「注意する人」ではなく、「自分の気持ちを分かってくれる人」「一緒に楽しい時間を過ごせる人」という存在として子どもの中に位置づけられるようになります。そうすることで、必要な場面での指導も、より自然な形で受け入れられるようになっていくはずです。
まとめ
母親は子育てにおいて「損な役回り」を背負いがちで、特に「ママに怒られるよ」という言葉で厳しい役割を強いられることが多いのではないでしょうか。
父親が優しい一方で、母親が悪者扱いされる状況が生まれるため、夫婦での率直な話し合いや役割分担が重要です。また、心のケアや子どもとのポジティブなコミュニケーションを通じて、母親が「注意する人」だけでなく「理解者」として位置づけられるよう工夫することが大切なのではないでしょうか。